自分で得た力と輝き
こんにちは。ののです。
この1週間の出来事がとても充実して学ぶことの多いことだったので、それについて書こうと思います。
私は、いくつかの学校、クラスで、パソコンの講師をしています。だいたい生徒15名の授業を一人の講師で行う仕事です。
その中の一つのクラスで、おととい、パソコンの検定がありました。そのクラスは障害者のクラスで、ビジネス系の仕事を目指すクラスです。パソコンはそのクラスのいくつかあるうちの一つの科目です。そしてたまたま、そのクラスは障害が重く、パソコン初心者、そして、私よりも年上の30代・40代・50代の方の多いクラスになっています。
1ヶ月前に検定の日程が決まった時には、まだまだ、全然、検定などとは程遠い状態でした。上肢障害の方たちなどは、特に、時間が足りず、大変な苦労と悩みの中にいました。
「教える」という仕事で私自身、気をつけていることがあります。私を信じてがんばってもらわないことです。「信じてついてこい」という感じにはしないことです。そういうふうにしてしまうと、その生徒さん自身の思考がストップしてしまう可能性があります。自分で考えないで、私を信じてがんばってしまえば、卒業して私がいなくなったときに、自分で考える力がなくなってしまいます。それよりも、考える手助けをしたい。そして必要な時には、その道しるべをおいてあげたい。
そして、その生徒さんが悩み苦しみながらも、紛れもなく、「自分の力」で何かを得た、と思えるようにしたいと思っています。悩み苦しみ、それでも「全力を尽くした」「がんばった」という充実感、心の中でこれから支えになっていくものを得ていってほしい、と思っています。
8月上旬の夏休み前に、模擬試験を行った時には、厳しいことを言いました。「今の段階で合格できる人は一人もいない。もっとがんばらなければダメだ」。実は合格レベルにいる生徒も数名いたのですが、その生徒たちにも、これでは受からないと言いました。合格した時に、あまりがんばらなくてもできるさ、と思ってもらっては困る。それでは社会でより困難な状況に遭ったときに対応する力がなくなってしまう。合格レベルに達している人も含めて、全員に大いに悩んで考えてもらおうと思いました。
夏休みが明けたのが、今週の月曜日。水曜日が検定です。夏休み、病気で入院していた生徒さんもいました。他の生徒だって、夏休みに思うように勉強できた人はほとんどいないでしょう。しかも合格レベルに達していない人がほとんどです。「夏休みはもう終わってしまったから、終わってしまったことについて考えてもしょうがない。過去のことは忘れてください。今日と明日のことだけ考えてください。受かるかどうかは分からないけれども、今日と明日、どれだけがんばれるかっていうことが、皆さんをこれから支えていくものになるから。」私もとにかく必死でした。どうにか受かってほしい、でも難しい人がたくさんいる。共に悩む二日間でした。放課後に補講も行いました。検定の前日の補講を終えたときに、まだ、試験時間内にできない人がほとんど。ダメかもしれない。
水曜日、検定当日。検定前に一言生徒に言える時間をもらいました。「昨日の自分と今日の自分が突然変わっているわけがない。だから、今日、突然すごいことができるわけではないですね。皆さんは今の皆さんのままでいい。でもこれだけは決して忘れないで。今の皆さんの持てる力でいいから、最後まで絶対に『諦めないこと』。与えられた時間、与えられた道具と自分の力で精一杯やるってこと。そういうことが社会で求められていることですから。」
そして、検定へと送り出しました。検定中、後ろから私も見ていました。みんなそれぞれの障害を抱えながら、いつものように問題に取り組んでいる。その様子は昨日とさして変わりはない。静かに時間が経っていく。
ある時間にきたときに、私はハッとしました。みんな、いつもより早く次の問題へいってる。それが、一人とかではなく、みんな、なのです。検定の問題は昨日までの練習問題とさして難易度に違いはない。どうしたことか、と思いながらも、溢れる涙を止めることができませんでした。「みんなの心に私の言葉が届いている。精一杯がんばっているんだ。」
結局、時間に間に合わないという生徒は一人もなく、検定を終えました。粗点をつけたところ、一人を除いて、全員が合格ラインを大きく上回りました。
感動を胸に、検定の次の日(昨日)の授業を迎えました。いつも恥ずかしそうに下を向いたりしている生徒、ちょっとニヒルに構えている生徒も、みんなみんな、とても輝いて見えました。なんて素敵な生徒たちにめぐり合えたのだろう。
「皆さん昨日はお疲れ様でした。みなさんががんばっているのが後ろから見ていて本当によく伝わってきました。涙がでました。これから社会でいろいろなことがあると思う。いろんな人がいていろいろなことを言われたりすると思う。社会にそういう人がいることはしょうがないことです。みなさんはたまたま障害ということで手帳を持っているけれど、個人差っていうのはどこにでもあることだからね。だからどんなことがあっても、ひねたりいじけたりしないでくださいね。昨日みたいに精一杯のことをやっていれば、昨日私が泣くくらい感動したように、きっと誰かが見ていてくれるから。それできっと誰かが助けてくれるから。3月まで学校にいる間を、検定までの時間と同じように、大切に精一杯やりましょうね。」
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